フェイス・ド・block 9
<フェイス・ド・block>
⚪︎ストーリー
君たち3人は、とても仲が良かった。
しかし、ある日突然『悪魔』が現れ、君たちはそれぞれ「勇気」「心」「知識」の3つのアイテムを悪魔に奪われてしまう。
『悪魔』とは、己の心の中に潜む怪物のことである。
君たちから「勇気」「心」「知識」という「3つのアイテム」を盗んだ悪魔は、パワーを持って実体化し、現在この町に逃走中である。
君たちは、元の姿に戻るため、悪魔から3つのアイテムを取り返さなければならない。全員にただ1つだけ残されたアイテム、「絆」を駆使して。
知り合いの悪魔ハンター、「エン」を訪ね、君たちは悪魔と戦う準備をするーーー。
⚪︎概要・ルール
・プレイヤーは総勢3名。限られたフィールドの中、ゲームマスターの下、与えられるミッションをクリアしていく。
・各プレイヤーは専用ヘッドギア、ベスト、ベルトを常に着用し、いずれかを外した時点でゲームオーバーとなる。
・指定区域(フィールド)を出てはいけない。出た者はその時点でゲームオーバー。
・悪魔は街中に、三匹潜んでいる。悪魔を見つけたら、悪魔に直接タッチし(①)、「捕まえた。俺から奪ったものを返せ!」と言う(②)。
・PK5本勝負
・縄跳び持久戦
・ビル内鬼ごっこ(プレイヤーが鬼)
・射的
尚、どのミニゲームを行うかは、プレイヤーが任意で選ぶことができる。
・ミニゲームに、
プレイヤーが勝利した場合…悪魔から、「3つのアイテム」のうち、どれか1つを奪い返すことができる。(ただし、奪い返したアイテムはあくまでもその悪魔の本体の物であり、必ずしも勝利したプレイヤーのアイテムであるとは限らない。)
悪魔が勝利した場合…プレイヤーの持つアイテムを1つ奪われる。1つも持ってない場合、ゲームオーバーとなる。
尚、プレイヤーは「3つのアイテム」の他に、最初から「絆」を持っているため、初回のミニゲームで敗北してもゲームオーバーにはならない。ただし、「絆」を奪われたプレイヤーは、ヘッドギアでの他プレイヤーとの通信が一切遮断される。
「絆」を奪われたプレイヤーは、次回のミニゲームで勝利した際、自動的に「絆」を取得し、3つのアイテムのうち1つもまた同時に取り返すこととなる。
・悪魔とは…
その正体は、特殊スーツを着用した、身体能力の高い人間。
ストーリー上では、各プレイヤー毎に専用の悪魔がおり、プレイヤー1には悪魔1が、プレイヤー2には悪魔2が、と、各プレイヤーと悪魔が対応している。
そのため、ゲーム中にプレイヤーが悪魔と遭遇し、悪魔からアイテムを奪い返したとしても、そのアイテムはそのプレイヤーのものではない可能性がある。その場合、そのアイテムは自動的にその持ち主が取得することになる。
他プレイヤーのアイテムを奪い返したプレイヤーは、報酬としてゲームマスターから「武器」が与えられる。
条件…
・ミニゲームを行うプレイヤーが、アイテムを1つ以上持っていること。
・悪魔は、対象のプレイヤーに気づかれずに背後からプレイヤーをタッチすること。
ここで行なわれるミニゲームの内容は、悪魔が選択する。勝利した場合のイベント内容は上記と変わらない。
・ゲームオーバーになった場合、そのプレイヤーは自動的にゲームマスターの部屋に収容される。そこから他プレイヤーの状況を見ることができ、ヘッドギアを通して会話が可能。
・「3つのアイテム」を全て取り戻したプレイヤーは、ゲームマスターより新たに「技術」というアイテムが付与される。
「技術」を得たプレイヤーは、自身の悪魔との直接対決が可能であり、ここでそれ以前に手にした「武器」を使用してもよい。
バトルフィールドは、土手下の平地。
勝負内容は、制限時間10分内に、プレイヤーが悪魔のスーツに1つ付いている「カプセル」を割るか、悪魔がプレイヤーのベルトに付いているカプセルを5つ割るか。どちらか先にこれらを完了した方が勝利である。
プレイヤーが勝利した場合、ゲームクリアとなり、ゲームはそこで終了となる。その時点で、そのプレイヤーの悪魔は消滅する。勝利したプレイヤーは、その後もゲームに参加し他プレイヤーを助けてもいいし、離脱しても構わない。
悪魔が勝利した場合、プレイヤーは一時間行動不能となる。
・ゲーム全体の制限時間は、32時間。制限時間内に悪魔を倒せなかったプレイヤーは、ゲームオーバーとなる。
・ゲームをクリアした者には、ゲーム終了後、ゲームマスターより賞金100万円が与えられる。
フェイス・ド・block 8
C「うおお!俺、この話を聞いた時からずっと楽しみにしてたんスよ!」
エン「ハハ、それは嬉しい話だ。じゃあ、ゲームの説明をするぞ」
エン「これから君たちがやるゲームの名前は、『フェイス・ド・block』だ」
A「フェイス…」
B「ド…」
C「ブロック……!」
エン「まず、君たちにはこれをはめてもらう」ガチャガチャ
C「それは…?」
A「ヘッドギアみたいだな…」
エン「うん、そんな感じだ。これを頭に装着して、ゲームに臨んでもらう」
そのヘッドギアはボクシングで使用するような物に比べ、幾分かすっきりとしたフォルムで、前面にはまるでバイクのヘルメットのシールドのような透明な曲板が取り付けられていた。
エン「ゲームには、ナレーションというか、進行係が必要だ」
エン「このヘッドギアを通して、ゲームマスターである私と通話し、ついているカメラで私に映像を送り、様々な機能を使うことができる」
エン「そして、更にこのベストとベルトをつけてもらう」
エン「ベストには、お金とか、電話とかを入れられる。ズボンのポッケに入れるんではいささか動きにくいんでな。このベルトは、まぁ、なんだ…。一種の装着必須防具とでも思ってくれ」
エン「これら3点セットで、合計500グラム以下の重さになるよう調整した。動きやすさを重視してるのに、重いのを着させては意味がないのでな。ハッハッハ」
C「うお、すげ…。超本格的じゃん」
エン「さて、ルール説明の前にひとつ。君たち、LINEはやってるね?」
唐突な質問に戸惑う三人。
A「え、ええ…。入れてありますけど」
エン「よし。ゲーム内でイベントが起こる度、私は君たちのLINEに通知を入れて知らせる。その為、私のアカウントを追加してほしい。ほら、QRコード」
A「あ、ハイ…」ピコン
B、C「ピコン」
エン「よしよし。じゃあ、ヘッドギアとベスト、ベルトを装着してくれ」
装着する三人。
C「こ、これでいいっスか?」
エン「まぁ、そんなもんだろう。どうだい?動きにくくはないだろう」
C「ええ!むしろ、やる気に満ち溢れてくるっス!」
エン「では、これからこのゲームのルールを説明する。説明が終われば、いよいよゲームスタートだ」
フェイス・ド・block 7
ー土曜日・AM9:00ー
エン「さて、まずは自己紹介から始めようか?」
寂れたアパートに入ると、そこには外見とは似つかぬ空間が広がっていた。
バストイレ付きの1LDK。リビングに通された三人は、その不思議な空間に戸惑っていた。
A(なんだここは?普通に綺麗だ…しかし、かなりおかしい。僕たちが今座ってるソファは普通の物だが、他には機械類しかない…)
エン「まずは、私から始めよう」
エン「私の名前はエン。勿論、本名じゃないぞ。私がどんな人物なのかは、既に君たちもある程度は知ってくれていることだろう」
エン「職業はゲームクリエイター。主に、プログラミングを担当していて、決まった企業についている訳ではなく、様々なゲーム会社を転々とした。現在は、自営業に近い形で、個人でゲーム作りをしている」
エン「ここは、現在の私の本拠地。私の城だ。貯めていた貯金で本来潰されるはずだったこのアパートを買い、中を改造して住んでいる。残念ながら水は来ないが、電気は使える」
エン「この外見のおかげで、ここに人が住んでいるなんて誰も思わない。まったく快適だよ、ここは」
B「こ、この機械類は…?」
エン「ああ、これらはね、私がゲームを作るときに使用するコンピュータその他だ。あと、隣の和室には、大量のゲームのハード・ソフトがビッシリと並んでいる。昔のものから、最新のものまでね」
C「すげえ!」
エン「さてと。私からはこれくらいかな。次は、君たちだ。それじゃ、君から頼むよ」
A「あっ、僕っすか。えー、コホン」
A「僕の名前はAといいます。隣町の、△△高校に通っている一年生です。こいつら二人とは小学校からの友達で、今回はBに誘われてここに来ました。部活は、剣道部です」
B「俺はBです。Aと、同じ学校に通ってます。部活は、サッカー部!えー、と…。まぁ…よろしくお願いします」
C「俺はCというものです。同じく△△高校っス。部活はコンピュータ部で、サバゲー同好会にも所属してるっス!ちなみに、苗字は¥¥。よろしくっス!」
エン「なるほど…。なかなか面白い子たちだね。期待できそうだ」
C「!?」
C(俺の家柄をスルーだと…!?)
エン「さてと。前置きはこれくらいにして、ゲームの説明を始めようか」
フェイス・ド・block 6
ー土曜日・AM8:50ー
A(ここは、この町の中でもすこし寂れた所にある、廃墟のアパートだ。外装はほとんど剥がれかけているし、一部には植物が生えている。この中にエンがいるのかと思ったが、人が住めるような場所じゃないぞ…??)
?「よっ!」
A「うっ、うおあ!…………なんだBか。驚かすなよ」
B「ワリーワリー。Cはどこだ?」
A「さぁ…。まだ見てないな」
?「フッフッフッ。私はここだ」
B「Cの声だ!どこだお前?」
ガサッ
A「うおあ!」
B「…C、なんだそのカッコは?」
C「フフフ。特注品だよ。どうだい?実際君たちも見つけられなかったろ?そこの茂みにいた私を」
A「……迷彩服?」
B「お前な…。サバゲーしに来たんじゃねぇんだぞ」
C「RPGだろ?知ってる知ってる!それに、ちゃんと動きやすい服装だからな。言いつけは守ってるぜ」
B「お前それじゃ街中で目立つだろうが!特殊なことやってますって言いふらしてるようなもんだぞ!」
C「う…。き、気分だ気分!ゲームは楽しまないと意味がねぇだろ!」
B「だからっておま
パンパン
?「その通りだよ。『ゲームは楽しまないと意味がない』。ンッン〜、名言だな、これは」
!!
A「!?まさかこのアパートから…人が!?」
B「あ、あなたはもしかして!」
?「フフ」
?「ようこそお集まりくださいました。私がこのゲームのオーナー、エンというものです」
C「あなたが…エン…!!」
エン「…うむ。9時ピッタリだ。どうぞ、中に入って」ガチャ
A「…マジか、ホントにこのアパートの中に…」
エン「さぁ、ゲームを始めようか」
フェイス・ド・block 5
B「で、だ。お前ら、カネを持ってこい」
A、C「カネェ??」
B「そう、金だ。このゲームは、この町内を散策しながら行うRPGだ。そして、途中で離脱することはできない。お前らだって腹は減るだろ?それに、何が起こるかわかんないから、金はあったほうがいい」
A「なるほど金か。5,000くらいあればいいかな?」
B「まぁ、充分だろ。それよりお前ら、ホントに誰にもこのこと言ってないだろうな?」
A「勿論。妹がなんか、怪しんでたけど…」
C「ン…。勿論」
B「…おい、C?」
A「まさか誰かに漏らしたのか?」
C「いや、そうじゃねぇよ。ただ、昨日のことが気になってな…」
B「なにがあった?」
C「昨日の昼休みにさぁ。俺のクラスにDって娘いるだろ?あのメガネの」
B「あー、あの娘ね!隠れ巨乳なのではって、俺のクラスでウワサの娘だ」
C「そうなのか?で、Dが俺に話しかけてきたわけよ。『明後日の土日、ヒマ?』ってね」
C「これはもしやデートの誘いか?って思ったんだけど、俺は根っからのゲーマーだからな。断ったんだ。『いや、土日は用事がある』って言ってよ」
C「そしたら彼女、笑いながら『やっぱりね』ニタニタ って言うんだ」
B「やっぱりね…?なんだ、その子このゲームのこと知ってんのか?」
C「俺に聞かれても分かんねぇよ。でもよー、なんで俺の予定が知られてんのかな、って、ちょっと不気味なんだよ」
A「なるほど…。だが、例えそのDが今回のこと知っててもよ、別にいいんじゃないか?真面目そうな娘だし、問題は起こさないだろ」
B「うーん、でもまぁ、C、お前が誰かに言ったわけではないんだよな?」
C「それは確かだ。家族にも言ってない。家政婦さんにもな」
B「じゃあまぁ、良しとしよう。もう明日だしな。言っとくが、そのアパートまでは、歩きで来るんだ。自転車は使うなよ?」
C「車で送ってってもらっていいか?」
B「馬鹿かお前。なんのために家族に内緒にしてんだよ」
C「あ、そっか。でも、なんで歩きなんだ?」
B「俺に聞くなよ。親父に言われたんだよ」
A「そういうことなら、構わないが」
C「いよいよだなー」
B「じゃ、また明日な!」
3人は駅で別れ、それぞれの帰路についた。
A(……Dって娘、確かこの町に住んでたよな……?)
フェイス・ド・block 4
?「プレイヤーは揃ったようだな」
??「はい、こちらの通りです」
?「ふむ…。ン、こいつ、特にいい働きをしてくれそうだな」
??「残りは何がありましたっけ」
?「監視カメラの設置だな。すまないが、お前のとこでやってくれないか?配置図は用意する」
??「了解です。あと、スーツは…?」
?「問題ない。東京の会社に特注したやつを今から取りに行く。」
??「! お気をつけて」
?「フフ、楽しみだな」
??「プレイヤーたちも心待ちにしているようです」
?「何としてでも成功させてみせるぞ、私の意地だ」
?「協力してくれるな」
??「勿論でございます」
?「そうだな、このゲームを『フェイス・ド・block』とでも名付けようか」
??「ド…?ド、とはどういう意味で?」
?「フフ、何でもない。小学生が考えた安易なネーミングよ」
??「はぁ…」
ー金曜日ー
C「いよいよ明日だな。今夜は楽しみで眠れないぜ」
A「何か、持ち物とかはあるのか?B」
B「ああ。携帯だ」
C「言われずとも、って感じだな」
A「他は?」
B「うんにゃ。動きやすい服で来てくれ、とだけ。あとは向こうが用意してくれるらしい。まぁ、多分、何持ってきてもいいだろ。凶器以外なら。」
A「2日連続でやるんだろ?どういうシステムなのかな?」
C「見当もつかねぇな!あーやばい、あーやばい。ワクワクが止まらないぜ」
B「朝9時に、ここ集合な」ペラッ
A「ここは…」
C「この町の、これは……。アパート?」
B「そう、アパートだ。しかし現在は使われていない。廃墟となったボロアパートだ」
A「なんでこんなとこに…」
B「エンが買い取ったらしいぜ」
A「…」チラッ
C「!?いや、俺ん家だってこれくらい買えるし!いやむしろマンション買えるし!」
B「あーわかったわかった」